日本ストレス調査協会、ブログ担当です。
ストレスチェック制度担当者様から「同じ業種の平均的な受検率はどのくらいですか?」というご質問をいただきます。ストレスチェックの受検率は、その実施時期や実施方法、事前告知の内容や期間により大きく変動する数値ですが、定量的に数値化できる項目が少ないストレスチェックにおいて受検率はわかりやすい一つの指標となります。
しかしながら、ストレスチェック制度実施後、一部の受検者からは「毎日のように受検勧奨を受けた」「『すぐに受検しろ』と上司に言われて、制度の目的や意図を理解しないまま調査票を提出した」といった、言わば「強制」に近いアナウンスを受けたという声も聞かれることがあります。ストレスチェックの受検は任意であることが求められており、今後の労働基準監督署による関与強化に伴い、強引な受検勧奨は正しいストレスチェック制度の実施として認められない恐れさえもあります。
ストレスチェック制度は、
- メンタルヘルス不調の未然防止
- 労働者自身にストレスについての気づきを促す
- 集団的な分析による、職場環境改善につなげる
という3つの目的があります。いずれにおいても、強制されたストレスチェック結果からは、現実とはかけ離れた結果しか浮かび上がってきません。
ストレスチェック受検率の最適値というものは存在しませんが、
- 実施前には、例えば余裕をもって告知を開始し、全社朝礼などがあれば、都度、アナウンスを行う(告知は最低2ヶ月前から)
- 出来れば事業主様から、ストレスチェック制度実施は法令順守が目的ということだけではなく、プライバシーを守りつつ集団的なストレス状況の分析を行い、今後、職場環境の改善に取り組んでいくという方針、決意表明の実施
- ストレスチェック制度の目的、特に実施体制とそれぞれの役割(特に実施事務従事者様の役割)について、労働安全衛生法により守秘義務は厳守され、同意なしに個人の結果を勤務先が取得することはないことを繰り返し説明すること
- 管理職層に対して、プレッシャーに感じる様な内容・頻度で配下対象者の受検状況を通知しない
- 受検期間にもよりますが、個人へのピンポイントによる受検勧奨は2週間であれば1回、1ヶ月間であれば2回程度とし、それ以外は全体的なアナウンスに留める
といった配慮と取り組みにより、受検者への理解や安心度が増し、通常であれば80%後半から90%代の実施率は実現します。
従業員の皆さんに先ずはしっかりとストレスチェックの目的を理解いただくことが、有意義なストレスチェック制度実施の第一歩となります。
ストレスチェック実施状況レポートのポイント
2017/07/26情報更新
厚生労働省により、ストレスチェック義務化後初めてとなる実施状況のレポートが公開されました。
(リンク:厚生労働省労働基準局 安全衛生部 労働衛生課 産業保健支援室)
主なポイントは下記の通りです。
- ストレスチェック制度の実施義務がある対象事業場のうち、82.9%の事業場が実施(17.1%は未実施)
- 実施義務がある事業場の労働者のうち、ストレスチェックを受検した労働者の割合は78.0%(受検率)
- 高ストレス者として判定され、医師による面接指導を受けた労働者の割合は0.6%
- ストレスチェックを実施した事業場のうち、78.3%の事業場が集団分析を実施(何らかの職場環境の改善を実施した割合は37.0%)