パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置を事業者様に義務付ける、改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が2020(令和2)年6月から施行されました。当ページでは、パワハラに関する実態や背景、対策の考え方と共に、パワハラ防止法対策に関するヒントをご紹介しています。ここむのパワハラ対策防止法サービスは、毎年のストレスチェック制度を活用したパワハラ防止モデルを通じて貴社のパワハラ防止対策を支援します。
Q.パワハラ防止法はいつから施行されますか? |
大企業様は2020(令和2)年6月1日、中小企業様(資本金3億円以下・従業員数300名以下)は2020年(令和4)年4月1日に施行されます。 |
Q.指針やガイドラインは公開されていますか? | 現在のところ、職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案が厚生労働省より公開されています。 |
Q.パワハラ防止法に罰則規定はありますか? | 罰則は設けられていませんが、行政指導後も改善が見受けられないといった場合は社名が公表されるペナルティがあります。 |
Q.パワハラ防止法の根拠(条文)を教えて下さい。 | 労働政策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(通称:労働施策総合推進法)の改正により施行されます。 |
※当ページは掲載時点(2020年1月10日)の最新情報を掲載しております。なお情報の正確性には細心の注意を払って調査、掲載しておりますが弊社がそれらを保証するものではございませんのでご了承ください。
パワハラ防止法は、大企業様は20年春(令和2年6月1日)に施行され、中小企業様(資本金3億円以下・従業員数300名以下)は22年春(予定:令和4年4月1日)に施行、取り組みが義務化されます。法施行まで特に大企業様は時間的余裕がなく、年末の指針公表までの期間を有効活用される必要があります。また中小企業様においては、法施行までに時間的余裕があるように思えるものの、当改正による社会や労働者側のパワハラに対する目が厳しくなることは必至であり、大企業同様、早めの対策が求められます。
また、改正法では、これまで明確な定義がなかったパワハラを「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動」などと明示され、企業様には相談窓口の設置や発生後の再発防止策といった新たな防止措置が義務付けられることとなります。また、働きやすい環境を整え、社員の退職や意欲低下などを防ぐといった意図も含まれた法令となります。
職場のパワーハラスメント(パワハラ)とは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
パワハラの定義・類型 |
典型例・ケース |
①身体的な攻撃 (暴行・傷害) |
叩く、殴る、蹴るなどの暴行を受ける。丸めたポスターで頭を叩く。 |
②精神的な攻撃 (脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言) |
同僚の目の前で叱責される。他の職員を宛先に含めてメールで罵倒される。必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱る。 |
③人間関係からの切り離し (隔離・仲間外し・無視) |
1人だけ別室に席をうつされる。強制的に自宅待機を命じられる。送別会に出席させない。 |
④過大な要求 (業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害) |
新人で仕事のやり方もわからないのに、他の人の仕事まで押しつけられて、同僚は、皆先に帰ってしまった。 |
⑤過小な要求 (業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと) |
運転手なのに営業所の草むしりだけを命じられる。事務職なのに倉庫業務だけを命じられる。 |
⑥個の侵害 (私的なことに過度に立ち入ること) |
交際相手について執拗に問われる。妻に対する悪口を言われる。 |
パワハラは個人間の問題と思われがちですが、実に3割以上の労働者が職場でパワハラを受けたことがあると認識をしています。また、パワハラを受けたあとの行動として「何もしなかった」が4割に上り、職場の中で起こったパワハラが放置されている現状があります。
パワハラが発生している職場の特徴として、職業性ストレス簡易調査票による集団分析(仕事のストレス判定図)でも重視されている尺度にもある、所属内の支援や、仕事の量や裁量が低い職場が挙げられます。
パワハラ発生による影響は、社員個人を追い詰めることはもちろん、会社への影響やその取引先にまで波及する恐れがあり、影響は計り知れません。パワハラは対処療法的に対応するのではなく、抜本的な取り組みのうえでの対応が求められます。
管理職には、職場の業務を円滑に進めるために一定の権限が与えられています。業務上必要な指示や注意・指導などもその一つです。厳しい指導であっても、「業務上の適正な範囲」と認められる限り、ハラスメントには当たりません。
パワハラ対策は「予防」と「再発防止」から、7つのステップが求められます。それぞれ、実態に合わせた不断のPDCAによる制度として確立し、常にパワハラを根絶しようとする企業、職場としての文化が求められます。
具体策 | 取り組み例 | ※ | |
予防活動 | ①トップメッセージ | 組織のトップが「職場のパワハラは根絶すべきである」ことの明確な意思表示を行う | 定期的な見直しが必要 |
②ルールの策定 | 就業規則や関連する規定を設ける/予防と再発防止についての方針やルール、ガイドライン策定 | ||
③実態を把握する | 従業員アンケートや、パワハラの発生可能性を集団分析から推測できる新職業性ストレス簡易調査票を用いたストレスチェックを行う | 実態に合わせて日常的にPDCAを回すことが必要 | |
④教育する | 経営層への周知や管理職への研修、上記②で策定されたガイドライン等に基づく一般職向けの周知・啓蒙を行う | ||
⑤周知する | 組織としての方針や、上記①~④の周知を継続的に実施する | ||
再発防止 (解決) |
⑥相談や解決の場を設置する | 対応する担当者の設置や責任者を選定する/社内外の相談窓口の設置や、外部専門家との連携 | |
⑦再発防止のための取り組み | 行為者に対する再発防止を行う(研修等)/事案をもとに予防活動の取り組みについて改善を行う |
*出典:パワーハラスメント対策導入マニュアル等を元にCOCOMUが加筆・修正
パワハラ防止法が施行されても、パワハラ対策の基本的な取り組みに大きな変更はありません。
特に大企業様においては、法施行まで時間的余裕がありません。パワハラ指針が公表される今年末までをパワハラ対策の基本的な取り組みである実態把握や教育・周知といった社内への取り組み、そして指針公表後は、指針内容に沿った各種規定・ルールの見直しに充てるといった、計画的なパワハラ防止法対策が必要です。
*出典:COCOMU作成(当欄記載のTODOは最低限の取り組みであり、事業者様の状況や指針内容により異なります)
行政側が事業者様に求める内容が示される指針公表は、最遅で年明けの可能性
⇒パワハラ防止に向けた取り組みに則った、できる取り組みの進行が必要です
現段階で想定される指針内容の概要
⇒既に運用されているルールや仕組みの中から応用することも有用です
組織のトップ層や管理職層の一部は、パワハラを個人の問題として捉える傾向
⇒法令順守、リスクマネジメント等の観点からも、パワハラ防止義務化(法令化)に関する説明と、理解・協力の取り付けが不可欠です
職場のハラスメントリスク低減は、職場環境改善や従業員様のエンゲージメント向上に大きく寄与します。
当社支援メニューのご利用、または組み合わせにより、貴社のパワハラ防止対策を支援します。