職場環境改善活動の進め方

健康経営や働き方改革の浸透に加えて、新型コロナウイルス感染症がもたらした労働環境や就業スタイルの変化は、日々の職場環境改善活動の在り方に対しても大きな影響を与えています。当ページでは特にストレスチェックや集団分析を起点とした職場環境改善活動に取り組む上で必要な準備、また、職場環境改善が貴社に文化として根付くために必要な考え方についてご紹介します。

職場環境改善活動って本当に意味あるの?

職場環境改善は根拠ある取り組み

  • ストレス要因や健康状況の改善が多くの研究から報告
  • 生産性の向上
  • 個人へのストレス対策、職場のストレス対策双方の実施が重要

ストレスチェック制度に基づく職場環境改善活動は有用

  • 職場環境改善活動を経験した約6割の労働者が「有用」と回答 (出典:厚生労働省)
  • 活動下における労働者の心理的ストレス反応が改善 (出典:厚生労働省)
  • ×ストレスチェック結果・集団分析結果返却 + ○具体的な改善活動

職場環境改善は生産性が向上するという根拠

  • 活動や取り組み費用@7,660(人)→生産性向上による利益15,200円(人) (出典:厚生労働省)
  • メンタルヘルス改善と生産性向上を期待できる取り組み

どうはじめるの?

出典:厚生労働省 ※一部ここむ㈱が加筆修正

■ 取り組みの主な手順

  1. 正しいストレスチェックの実施
  2. 集団分析
  3. 結果に基づく方針の策定
  4. 事業者による方針表明(現場離脱防止)
  5. 改善活動への着手


職場環境改善推進の3つのモデル

  • 社風や企業風土も踏まえた選択が必要
  • 職場改善が根付く会社の特徴 → 経営トップの関心・推進(管理職への影響)
 

経営主導型

管理職主導型

従業員参加型

推進者

経営層

管理監督者

従業員

現場リーダー

推奨される
職場

課題が少ない

課題をテーマ化できる

職場ごとに課題

職域・地域に特色

チームワーク

×人間関係・多忙過ぎる

条件

トップダウン型企業

管理監督者の興味関心

ボトムアップ型企業

メリット

経営レベルの判断

文化醸成

担当所属の特色・個性

実態に即した取り組み

デメリット

課題の濃淡

活動は職権内

テーマ設定(視野)

不参加者への対応

ファシリテーション

支援者・参加者の違いによる改善期待レベル

職場環境改善活動におけるPDCA

Plan(計画)

     ストレスチェック・集団分析の実施

     結果に基づく方針策定・実施計画の全体像の検討

     経営陣への報告・支援や協力の取り付け(IR)

Do(実行)

     ストレスチェック・集団分析の実施

     職場環境改善方針、目標(定量・定性指標)の設定

     結果報告・方針説明(経営陣向け)

     結果報告・方針説明(職場向け)

     職場環境改善活動の実行

Check(評価)

     達成度の確認
 定量指標集団分析の再実施等
 定性指標参加者の意見・感想の集約等

     経営陣への報告

     参加者への継続的な支援(相談窓口、情報提供)

Act(改善)

次回実施に向けた方法や手順の見直し

職場環境改善計画策定に向けたポイント

  • 経営層自らによる方針表明・継続的なコミットメント
  • 管理監督者へのエンパワーメント [安心感、負担軽減、相談等]
  • モデル職場の把握 [良好職場の状況や傾向]
  • 不審・不信の払しょく [見えない不安への対応]
  • 職場環境改善推進部門の設置 [事務局、進捗管理、経営報告]
  • スモールスタート
  • ストレスチェック・集団分析以外の情報収集 [労務、人間関係等]

課題・目標設定の言語化(社内共通言語への変換)

課題

計画・目標設定のポイント

(アクションチェックリスト)

現場のことばへの変換

仕事の量的負担

個人あたりの過大な作業量があれば見直す。

労働時間の目標値を定め残業の恒常化をなくす。

繁盛期やピーク時の作業方法を改善する。

休日・休暇が十分取れるようにする。

勤務体制、交代制を改善する。

個人の生活条件に合わせて勤務調整ができるようにする。

物品と資材の取り扱い方法を改善する。

個人ごとの作業場所を仕事しやすくする。

反復・過密・単調作業を改善する。

作業ミス防止策を多面に講じる。

衛生設備と休養設備を改善する。

アクションリストを共通言語化(具体的・イメージ)

仕事のコントロール

作業の日程作成に参加する手順を定める。

少数人数単位の裁量範囲を増やす。

各自の分担作業を達成感あるものにする。

必要な情報が全員に正しく伝わるようにする。

作業の指示や表示内容をわかりやすくする。

上司の支援

上司に相談しやすい環境を整備する。

チームワークづくりをすすめる。

仕事に対する適切な評価を受け取ることができるようにする。

昇進・昇格、資格取得の機会を明確にし、チャンスを公平に確保する。

同僚の支援

同僚に相談でき、コミュニケーションがとりやすい環境を整備する。

チームワークづくりをすすめる。

一過性に終わらせない職場改善改善

  • “文化”化
  • 従業員主導型
  • 経営層の興味・関心
  • 切れ目のない支援
  • 進捗管理
  • 経営報告
  • 無理のない目標設定
  • 人事評価外・不利益取扱い
  • 計画のオープン化(公開)
  • 共通した現状認識
  • 正しい知識(教育)
  • 各層への合意形成

スモールスタートを意識した定番的な着手モデル①(COCOMU支援例)

■ 高リスク部署への調査・ケア

  1. 仕事のストレス判定図「総合健康リスク」における高リスク部署選定
    120以上:心身の不調者発生の可能性
    150以上:何らかの疾病発生により治療中の労働者が発生している可能性
  2. カウンセラーヒアリング
    仕事のストレス判定図各尺度(仕事の量的負担・コントロール、上司・同僚支援)のカウンセラーによるヒアリング(仕事や職場状況ヒアリング、状態確認)と、要因の突き止め
  3. 人事労務部門様への改善策提案
    各種環境、または個人へのアプローチ

■ポイント

  • 仕事のストレス判定図結果に加えて他情報も加味して対象選定
  • クリティカルな事象への会社判断による介入、判断ができるよう事前準備が必要
  • 対となる職場(環境が類似する等)へのヒアリングによる改善ヒント調査も重要

スモールスタートを意識した定番的な着手モデル②(COCOMU支援例)

■ 改善プログラム

  1. キックオフ研修の実施
    - 研修を通じた、職場環境改善に関する教育、グループワーク、テーマ設定の実施
  2. 管理監督者による目標設定と3ヶ月~半年を目安とした改善活動
    - アクションチェックリストを用いたテーマ設定
    - 事業場内外産業保健スタッフによる進捗管理支援・リマインド、日々の相談対応等のサポート
  3. 振り返り(PDCA)
    - 改善状況の振り返り、評価の実施(定性変化)
    - 集団分析を目的とした短縮版ストレスチェックの実施(定量変化)

■ポイント

  • 管理監督者の当事者意識喚起、業務非直結の取り組みに対する不安感の払しょく
  • エンパワーメント(産業保健スタッフによる伴走感)
  • 実施後の定量的・定性的両面の分析、振り返り

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