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2019年 出生数90万人割れから考える女性の働き方と男性の支援

 厚生労働省によると、2019年の出生数が1989年の統計が始まって初めて90万人割れをすることが確実になりました。

 2015年の出生数が100万人を超え2016年には女性活躍推進法の施行、2019年には働き方改革が一部施行され、働く環境の制度が整った事で再び増加に転じることを期待していました。しかし、2019年も終わりを迎える師走に「少子化の加速」というニュースが流れ、出生数が今年も低下し続けていることが明らかとなってしまいました。

働き方改革から見る女性の働きやすさ

 働き方改革 ~一億総活躍社会の実現に向けて~(出典:厚生労働省より)

働く方々がそれぞれの事情に応じた「多様な働き方」を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、「長時間労働の是正」、「多様で柔軟な働き方の実現」、「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等」の措置を講ずることが働き方改革の定義です。

 この背景には「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」や「働く方々のニーズの多様化」に対応するためと言われておりますが、女性が働くための環境整備がまだ整っていないのが現状です。現実的には、「待機児童問題」で女性が働きたくても子どもの預け先が見つからない、「ワンオペ育児(女性1人で仕事、家事、育児を全てこなさなければならない)」で女性の時間やこころの余裕がない、「男性の育児休暇取得率伸び悩み」で男性が育児に参加しようとすると周囲からのパタハラを受ける、など日本ではまだまだ働きやすい環境が進んでいません。日々このような問題が新聞・テレビやインターネットで流れていると、女性は「働くためにはハードルが高い」と感じざるを得ないでしょう。

女性活躍推進法の改正

 女性活躍推進法の具体的な内容は下記の3つです。

  1. 自社の女性活躍に関する状況の把握と課題の分析
  2. 行動計画を策定、社内周知し、外部に公表する
  3. 行動計画を作成した旨を労働局へ届け出る

 2019年6月に改正になった点は、①事業主の要件が「従業員数301人以上」→「101人以上300人以下」に拡大。②公表義務の項目が「職業生活に関する機会の提供に関する実績」または「職業生活と家庭生活の両立に資する雇用環境の整備に関する実績」のうち、それぞれ1項目ずつ公表。③「プラチナえるぼし」認定制度の創設です。

 女性活躍推進法では女性管理職比率を2020年迄に30%にするという目標があります。

 2017年の男女共同参画白書 平成30年度版によると、日本企業の女性管理職の比率は13.2%で来年のオリンピックイヤー迄に達成できるのか厳しい現実となっております。

 日本以外の国と比べた調査(下記グラフを参照)によると、女性管理職比率の割合は先進国の中でも極めて低い状況が確認できます。

2017年の男女共同参画白書 日本企業の女性管理職の他国との比較
2017年の男女共同参画白書 日本企業の女性管理職の他国との比較

女性活躍推進の加速とメンタルヘルスを支える風土作り

 女性の活躍とライフイベントを考えてみると、日本は就職後に「男性と女性の性別役割分担」という問題でキャリアが途絶えてしまう傾向が少なからずあります。適齢期になると「結婚や出産を促される」、出産後は「育児に専念するように求められる」、中年期以降は「実親や義親の介護は女性が行って当然」というような社会が根付いており、ストレスから女性のこころと身体の負担が減りません。

 女性の働き方を改革していくには、人事・労務・管理職だけでは成し得ることは困難であり、事業所全体で一丸となって企業文化や風土を変革し、働きやすい環境作りの整備が必要です。

女性が活躍するために男性ができること

 妊娠出産は女性しかできないものですが、女性が社会で活躍するためには性別役割分担意識(男性は仕事で女性は家庭など)をなくすことが第一歩だと思います。男性で家事や育児が好きな方がいますし、女性で家事や育児よりも仕事が好きな方もいます。固定的な考えを前提にするのではなく、多様な働き方や生き方を知り、男性も仕事以外のことへ積極的に参加して家族の在り方や考え方を見つめてみてはいかがでしょうか。

 日本の管理職や意思決定者比率は男性が多いことから、職場でできることは、男性の育児休暇取得率及び休業日数を増やす、残業を美化しない環境作り、ハラスメントの教育や人事評価制度の見直しをご提案したいです。

 これからキャリア形成を計画する若い世代にも働く楽しさや喜びを伝え、魅力ある職場ひいては社会づくりの推進を当社のストレスチェックやメンタルヘルス対策がご提供できるように、各事業所様の課題解決をご支援致します。

新職業性ストレス簡易調査票「健康いきいき職場」づくり

 事業場レベルでの組織風土や組織方針を知るための尺度「経営者との信頼関係」「変化への対応」「個人への尊厳」「公正な人事評価」「多様な労働者への対応」「キャリア形成」「ワーク・セルフ・バランス」等を確認することができ、働き方改革や女性活躍推進法に準じた組織作りができているか状況の把握と課題の分析にお役立てできます。