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2020年に改正!男女雇用均等法と育児・介護休業法(マタニティハラスメント防止対策)はどう変わった?

マタニティハラスメント防止対策の改正ポイント

2017年1月に男女雇用機会均等法と育児・介護休業法に「妊娠、出産・育児休業等に関するハラスメント防止措置」が義務付けられてから3年が経過しました。

2020年6月パワハラ防止法のスタートと合わせて、男女雇用均等法と育児・介護休業法のマタニティハラスメント防止対策の強化についても改正されます。

マタハラ防止対策の指針 改正内容

  1. 妊娠出産等に関する否定的な言動に「不妊治療に対する否定的な言動」が追加されました。
  2. 事後対応の相談対応では、セクハラ防止と同様に被害者の心身状況や受け止め方に配慮した対応が必要です。相談を受けた場合の対応について、担当窓口の担当者に対し研修を行う必要があります。相談窓口の一元化(パワハラ・セクハラ・マタハラなどの相談に関して)が望ましく一体的に相談体制を設置することが望まれています。

マタハラ防止に関する法律は、「労働基準法」「男女雇用機会均等法」「育児・介護休業法」がありそれぞれの法律で規制の条文があります。妊娠中や産後の女性労働者の労働時間に留意をし、産休や育休を取得することによる不利益な取り扱いをせず、適切な環境を整えなければなりません。

男女雇用均等法と育児・介護休業法のマタハラに関する是正指導の状況

都道府県労働局雇用環境・均等部での是正指導状況(平成30年厚生労働省)によると、法違反が確認された事業所の是正指導内容はマタハラに関する内容が最も多くなっております。

男女雇用機会均等法の是正指導状況

是正指導状況(平成30年厚生労働省)
是正指導状況(平成30年厚生労働省)
 表2-2 是正指導件数の推移     (件)
  28年度 29年度 30年度
第5条関係(募集・採用) 71(0.7%) 59(0.4%) 60(0.4%)
第6条関係(配置・昇進・降格・教育訓練等) 31(0.3%) 30(0.2%) 26(0.2%) 
第7条関係(間接差別) 0(0.0%) 0(0.0%) 1(0.0%) 
第9条関係(婚姻、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い) 51(0.5%) 35(0.2%) 39(0.2%) 
第11条関係(セクシャルハラスメント) 3,860(39.5%) 4,458(30.5%) 4,953(30.0%) 
第11条2の関係(妊娠・出産等に関するハラスメント) 840(8.6%) 5,764(39.5%) 6,008(36.4%) 
第12条、13条関係(母性健康管理)

4,917(50.3%)

4,248(29.1%) 5,411(32.8%) 
その他 3(0.0%) 1(0.0%) 2(0.0%) 
合計  9,773(100.0%)  14,595(100.0%)  16,500(100.0%)

育児・介護休業法の是正指導件数状況

 表4-3 是正指導件数の推移     (件)
 育児関係 28年度 29年度 30年度
第5条関係(育児休業) 2,406(22.8%) 3,654(22.2%) 3,387(21.7%)
第16条の2、第16条の3関係(子の看護休暇) 1,390(13.2%) 1,594(9.7%) 1,284(8.2%) 
第10条、第16条の4、第16条の10、第18条の2、第20条の2、第23条の2、第52条の4、第52条の5関係(不利益取扱い) 26(0.2%) 22(0.1%) 21(0.1%)
第16条の8関係(所定労働時間の制限) 874(8.3%) 798(4.8%) 629(4.0%)
第17条関係(時間外労働時間の制限) 1,172(11.1%) 970(5.9%) 819(5.3%)
第19条関係(深夜業の制限) 414(3.9%) 421(2.6%) 407(2.6%) 
第23条第1項、第23条第2項関係(所定労働時間の短縮措置等)

1,557(14.8%)

1,384(8.4%) 1,422(9.1%)
第24条第1項関係(所定労働時間の短縮措置等)

1,706(16.2%)

1,785(10.8%) 2,326(14.9%)
第25条関係(休業等に関するハラスメントの防止措置)

870(8.2%)

5,741(34.8%) 5,097(32.7%)
第26条関係(労働者の配置に関する配慮) 0(0.0%) 0(0.0%) 0(0.0%)
則第7条第4項から第6項関係(休業期間等の通知)

134(1.3%)

122(0.7%) 200(1.3%)
小計  10,549(100.0%)  16,491(100.0%)  15,592(100.0%)

STOP!マタハラ 妊娠を理由とする不利益な取扱いで企業名公表

2015年9月妊娠を理由とする不利益な取扱いで厚生労働省の勧告に従わなかったとして、初の企業名公表事案が発生しました。

厚生労働省から「妊娠したから解雇」「育休取得者はとりあえず降格」は違法として周知が強化されています。

厚生労働省 STOP!マタハラ

女性活躍推進法が促進され女性が活躍できる職場環境作りを進める一方で、マタハラに関する防止や不利益な取扱いに関する法違反が減らない現状も確認できます。制度は知れ渡ってきましたが、ハラスメントを禁止する教育や対応が職場全体にまで広がっていないことが見て取れます。

当社による支援策のご提案

相談窓口の一元化(パワハラ・セクハラ・マタハラなどの相談)に向けたハラスメント防止の体制作りを、当社の相談経験豊富な専門職がお手伝いいたします。

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